アダルト産業の国際展示会 Venus Berlinに行ってきました

アダルト産業の国際展示会 Venus Berlinに行ってきました

Clock Icon2017.10.16

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フランクフルト株式市場上場のBeate Uhseという会社があります。同名の創業者は第二次世界大戦下の女性パイロットで、戦後、帰還兵が無計画に女性を妊娠させ中絶させることや、戦争でパートナーを失った女性の性問題に着目し、避妊具と性具の販売を手がけ、最盛期にはドイツにある6つの国際空港にアダルトショップを出店するまでに成長させました。

同社は度重なる告発や係争をクリアしてきましたが、ドイツはとかくアンダーグラウンドになりがちなアダルト産業を法律で適切に規制して表経済に引き上げる努力がなされてきました。1997年から続くアダルト産業展示会Venus Berlinはそのアイコンと言えます。

アダルト産業は広範囲に渡りますが、ポルノグラフィーに絞ると全世界で10兆円超の経済規模です。こと、インターネットの世界では30%のトラフィックがポルノに関係していると言われるほどインパクトがありますが、各国の規制や、CDN最大手のAkamaiがNo Porno, No Gamblingのポリシーを持っていたりと(ちなみにAWSはリージョンの法規に従っていれば問題ありません)取り組み方が複雑で、一般のIT企業には参入障壁がやや高い分野です。

私は前職でオランダの動画配信会社と取引があった縁でVenus Berlinに参加したことがあり、当時とどう変わっているか向学のために再度訪問してきました。行った展示会はブログにしなければならないのが弊社のルールですが、会場は360°ブログには不適切な空間になっているため写真の画角が狭くなっていることをご了承ください。

ベルリンメッセ

CeBITが行われる世界最大のハノーファーメッセやモーターショーのフランクフルトと比べるとベルリンメッセはドイツの都市コンベンションセンターで最小の16万平米ですが、それでも幕張メッセとほぼ同じ延べ床面積で、つい先日IFAが行われていたことも記憶に新しいところです。

今年のVenus Berlinはそのうち4つの大ホールを使って行われました。

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トレードフェアとインダストリーサミットの両面をもつイベントを進めるため、ポルノや性具の展示即売を行うエンターテーメントエリア、版権などの商談やテクノロジーの展示がされているビジネスエリア、最終日にアウォードが発表されるステージエリアに別れていて、今回はさらにKinky Venusというボンデージやラテックス・PCVコスチュームのみを扱うホールが特設されています。

entertainment business
エンターテーメントエリア。見た感じでは来場客の3割以上は女性です。 真剣な商談が行われているビジネスエリア。Beate Uhseのブース。
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モデルのプレゼンショー中のステージエリア。 Kinky Venus会場。

様変わりする業界

エンターテーメントエリアは以前はPenthouseやJohn Thompsonといった大手プロダクションが大々的な展示を行なっていましたが、今や主役はPornhubやmydirtyhobbyのようなプラットフォーマーに取って代わられています。また効率化された配信システムを使うことで、モデルが自身でプロダクションを立ち上げる例も増えています。

mdh caprice
mydirtyhobyはトップ配信者50人の個人ブース設置。 チェコのスーパーモデル Little Capriceは個人プロダクションブースを出展。

大手プロダクションがVRに傾倒するのは、それが現段階でこういった新しいプレイヤーに対抗できる数少ない手段だからなのかもしれません。

camera vr
主観視点VRの撮影プレゼン。ライブ配信も可能。 VRパッケージソリューションを開発する会社の展示。

会場で無数に展示されているVRは臨場感が驚くほど向上しているのと同時にコモディティ化も進展しています。

上記のVRパッケージの会社によると今回の出展者のほとんどが同社の技術を使っているそうで、撮影機材はまだまだ高価ですが、スマートフォンによる撮影パッケージも1、2年のうちにリリースしたいとのことです。ゆくゆくはアフォーダブルな双方向コミュニケーションツールとして業界をさらに変えていくと思われます。

成熟産業内での競争

アダルト産業は古代から安定したパイが存在しますが、現代において劇的に成長していく産業ではありません。特に男性向けポルノは上記のようにプラットフォーマー支配によるARPUの低下が顕著で、戦略的に行動しなければ生き残ることさえ難しい状況です。

そんな中まだまだ手探り感がありますが、女性と介護向けは残された市場として様々な工夫がなされていました。露骨なので写真が掲載できないのが残念ですが、今まで見たこともない女性向け性具や体の自由が利かない人向けの補助用具が展示されていました。ブースで長々とお話しさせていただいたのですが、性具業界は高出力のリチウムイオン電池の一般化によって近年のイノベーションが促されているようです。

また、これは同じ規模と知名度を持つラスベガスのAVN Adult Entertainment Expoと大きく違うポイントですが、エスコートサービスの展示が許可されていて、そこでも女性や障害者を対象としたコールサービスが細分化されていました。

以前よりも海外からの出展者が減った印象ですが、日本からは唯一、トータル・メディア・エージェンシーさんが抱き枕の展示をされていました。

tamatoys toilet novelties
TMAのタマトイズ。 斬新な発想で果敢に世界に挑むフランスの窯業会社。 持ち帰るのがはばかられるノベルティ。

VRの会社などいくつかの会社とアポもとれ、なかなか収穫の多いイベントでした。また覇気ある出展者が多く、我々がイベント出展する際もこのくらいの高いモチベーションでやらねばと気が引き締まりました。

 


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